最終戦争論

2008年7月2日 読書
石原莞爾「最終戦争論」中公文庫

なぜか時々、こういう本を読みたくなります。
第二部が「質疑回答」になっていて、これがまた興味深い。

質問:東洋文明は王道であり、西洋文明は覇道であると言うが、その説明をしてほしい。
答:(ずーーーと省略)最終戦争即ち王道・覇道の決勝戦は結局、天皇を信仰するものと然らざるものの決勝戦であり、具体的には天皇が世界の天皇とならせられるか、西洋の大統領が世界の指導者となるかを決定するところの、人類歴史の中で空前絶後の大事件である。

巻末の松本健一の解説が、橋川文三と丸山眞男の関係に触れていて、これまた大変面白い。

アメリカの夜

2008年7月1日 読書
阿部和重のデビュー作(「群像」新人賞受賞作)。

うわあ、蓮實重彦ど真ん中。
題名が既にハスミしてるし、作中に「某国立大学教授の肩書きを持つ映画評論家」なんて記述もあります。

なにより、文体がハスミです。
でも、さすがに後藤明生ほどひょうひょうとしているわけではないですね。
70年代初頭、新譜ジャーナルはギター少年の必須アイテムでありました。ギブソンだのマーチンだのは手の届くはずもなく、大概は友だちの友だちあたりから廻ってきたお下がりのギター片手に、新譜ジャーナルを開いたものです。

本書は、同誌に掲載された譜面を復刻印刷したもの。なんと494曲が当時の印刷のまま掲載されています。数年前に神田の書店で見つけ、喜び勇んで買って来ました。

昨夜発作的に「落陽」をかき鳴らしてみたくなり、久しぶりにページを捲りました。あら、意外に簡単なコード進行だったんですね。

ちょっとはまりそうな按配です。
阿部和重「インディビジュアル・プロジェクション」を買いに本屋さんにお出かけ。

ところが、ない。単行本も、文庫本も在庫ナシ。確かこの書店は在庫80万冊とかいうのがウリだったはずですが・・・

いやーな予感に襲われながら、他の書店に回る。ない。

あのー、私は大江健三郎の「夜よゆるやかに歩め」を読みたいとか、そういう無体なことを言っているのではありませぬ。J文学の旗手阿部和重の代表作が読みたいという、ごくささやかな願いとともに、リッター170円のガソリンを燃やしながら車を転がしてきたのですよ。

そうですか。私の町の周辺では「インディビジュアル・プロジェクション」を入手することは、叶わぬ望みでありましたか。田舎に住んでる私が悪うございました(涙)。さすがに札幌まで出る根性はなく、平凡社新書「かなづかい入門」(白石良夫)と東京本を1冊買って帰って参りました。

結局はネットで購入ということになりそうだが、380円の文庫本に送料払うのもアホらしいなあ。
阿部和重の芥川賞受賞作

多芸な作家だなと感じた。一人称を取っているためか私小説的な趣きもあり、もし芥川賞に人格があるなら、「芥川賞君」は「こういう作品ってオレの好みだなあ」と言うのではないだろうか。「シンセミア」の読後感では「文章が雑」などと書いたが、この作品の文章は緻密です。

ラストに仕掛けがある。作中では二人の少女が演劇を発表するのは「1月19日の日曜日」で、それに向けて「わたし」が指導を引き受ける。

そしてクリスマスの日、「わたし」は稽古の後二人に渡すべく、プレゼントを用意するのだが、その後直ぐに、開演時間が迫り満員の客席が静まり返っているという描写が続く。

もちろん、ここで「開演」するのは実際の劇「勿忘草」ではなく、「わたし」と二人の少女との間で演じられるべき「劇」のことだ。だからスタッフは不在だし、客席は静まり返っている。

しかしこの部分、臨場感たっぷりで、読んでいて一瞬時間がワープしてしまった。やられましたね。

明日本屋に出かけて、「インディビジュアル・プロジェクション」を買ってくることにします。

シンセミア読了

2008年6月26日 読書
英語はからっきしダメなので、ネット友人に聞いてみたところ、
sin semillas は「純度の高いマリファナ」原義は「種なし」という意味とのことでした。同名のロックバンドも活躍しているようです。少し根性を入れて調べたところ、Urban Dictionary の記載を見つけました。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=sinsemilla
あるいは、スラッグとして別の意味で流通している言葉かもしれませんが、作中に「シンセミア」の意味についての記述はありませんでした。

さて、わらわらと人物が登場するこの小説、大変面白く読みました。実在の町(阿部和重の出身地)を舞台に、ろくでなしどもが愚かさを競い合う底の内容で、老若男女を問わず、高潔な人間は一人も登場しません。
最後は盛大に愚か者どもが死にまくって、ジ・エンド。
作品全体を通して、神話的世界とアメリカの陰が交錯します。

フォークナーや中上健次との類似性が論じられているようです。私は、奥泉光の作品に似た感触を覚えました。

この作品によって、村上龍が陳腐化されたというのは、よく分かります。しかし、村上春樹を陳腐化することまではできないと思いました。もっとも、「大」のつく傑作と評した蓮實重彦なら、そんな「読み」を軽蔑することと思いますが。

もうひとつ。文章が雑に流れている部分があるように思いました。多分これは、原稿用紙に手書きではなく、パソコンで文章を作ったためではないかと推測します。いわば、「パソコン文体」ともいうべき特徴があるように思いました。

ということは、それを「雑」と感じる当方の感覚が、既に古いのかもしれません。

アキバ事件を先取りしているような箇所もあり、久しぶりに長編小説の世界に遊ぶことができました。

続いて「グランド・フィナーレ」を読む予定です。

半袖の季節

2008年6月25日 日常
6月も残り僅かとなって、さすがに暑くなってきた。
来週から半袖に衣替え。

やあやあ、間もなく1年の半分が過ぎてしまうんですね。
なんか、異常に早いんですが。

パンク

2008年6月24日 日常
といっても、ギターを振り回すアレではなくて、タイヤの方です。

帰宅してから気が付いたが、とき既に遅し。もう、スタンドまで走るのは危険。スペアにはき替えなきゃ、無理です。

明日は久しぶりにタイヤ交換だなあ。

内田×吉本対談

2008年6月23日 読書
昨日日記を書いてから机の上を片付けていたら、内田樹と吉本隆明の対談コピーが出てきた(「文藝春秋」08年7月号)。

再読してみて、やはりこのお二人は波長が合っていると感じました。多分、初対談だと思うんですけどね。

例えば吉本が、「みんな裸のまま社会を生きていて、肌身に何かが直に突き刺さってくるような感じを受けているんじゃないかと思うんです」と発言する。吉本を嫌う人は、まずこういった学問的ではない、感覚的な言葉に反発するが、内田は「その肌身に突き刺さるという感じはよくわかります」と返す。

互いの言葉が活きていて、改めて、大変面白い対談でした。
昨日に引き続き家にこもって「シンセミア」下巻を読もうと思っていたところ、ポカポカ陽気に誘われて外出。

帰宅後は家の周りの草むしりをして、夜はTVでサッカー観戦。

大変健康的な日曜日でした。

読書中

2008年6月21日 読書
阿部和重「シンセミア」読書中。
感想は後日。
第1号は北海道編。
廃線なども掲載されていて、680円はお買い得でしょう。
やるじゃない、新潮社。
職場の健康診断が近づいてきている。

メタボ該当者には警告が出されるらしい。
このままだと、一発でレッドカード。

ダンベルを続けると落ちるのは経験済みだけど、もう間に合いそうもない。
まずいぞ、まずいぞ。

同類が結構いるので、互いの腹を見て和みましょう。
7000兆円の預金!!!
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080618-00000011-maiall-soci

国家予算をはるかに超える天文学的な数字だ。いくらなんでも、ありえない。
なんで騙されるのか不思議です。

でも、話が大きければ大きいほど、騙されやすい人っているみたいです。

シンセミア

2008年6月17日 読書
図書館から、阿部和重「シンセミア」を借りる。上下2巻。

仕事の関係で、ここ2〜3日は雑誌記事などをチマチマ読まねばならない。週末の楽しみにしておきましょう。

阿部和重は「ニッポニアニッポン」を相当前に読んだきり、手にとっていない。「シンセミア」が面白ければ、続いて「グランド・フィナーレ」もいってみよう。

最強の駒落ち

2008年6月16日 囲碁
「最強の駒落ち」先崎学 講談社現代新書

囲碁を教わったのは15歳のときだが、将棋となると、いつ覚えたのか全く記憶がない。小学校に入る頃には、もう友だちと指していたと思う。

覚えたのが早い分、全くの我流。イモ筋のヘボ将棋である。

この本が気に入ったのは、8枚落から始めていること。駒落ちの解説書は、だいたいが2枚落の「銀多伝」から始めるのが定跡だが、さすが先崎クン、親切ですね。

囲碁は、アマ2段格の人に9子でみっちり仕込まれた。6子から5子になるとき大きな壁があったが、あとは比較的順調に石を減らすことができた。

その人とは現在、定先で白を持っているが、9子時代に身につけた感覚は、今でも役に立っている。随分イジメられたので、将来手が生じそうなところ、アジの悪いところに敏感になった。

ということで、多分将棋も、きちんと8枚落から順に、駒の働きについての感覚を身につけてゆくのがいいのでしょう。

でも、将棋より囲碁の方が好きなので、多分ヘボ将棋のまま上達しないだろうなあ。
いつものソバ屋で「天丼ともりそばセット」を食す。
なんと、1割以上の値上げ。特にエビなど魚介類を使ったものが上がっている。

帰りに行きつけのスーパーに寄って買い物。
ここでも魚類の値が上がっている。
タコなどは、ひと月前に比べて倍近い値段になっている。

なんか不安です。
今日は朝から地震のニュース。時間がたつにつれて、被害の様子が明らかになってくる。

震源地が内陸ということで、土砂崩れの被害が多い。雨が多い季節なので、被害の拡大が心配です。コンビニに行って、寸志寄付してきます。

木山捷平の詩

2008年6月13日 読書
仕事でちょっと疲れ気味の時には、木山捷平全詩集(講談社文芸文庫)を読んで和む。

からり ころり と
あさのみち
やさいをつんだ
にぐるまが
東京へ 東京へ 行きました。

がたり ごとり と
あさのみち
うんこをつんだ
にぐるまが
ゐなかへ ゐなかへ 帰ります。

この詩の題名は「分の悪い交換」(昭和4年作)

あはは、面白い。
久しぶりにギターを引っ張り出して遊ぶ。
スリーフィンガーはテンポが乱れるわ、セーハすると音が出ないわ、もう全然ダメ。Gmなんて、音がかすれてます(涙)。

楽器と語学は毎日やらなきゃダメですね。
30分くらい遊んでいたら、左指にミミズ腫れができてしまいました。

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